ハイラックスの弟分がバンコクモーターショーで注目の的に
2024年3月27日~4月7日にタイで開催された第45回「バンコク・インターナショナル・モーターショー」(以下バンコクモーターショー)は、12日間で来場者数161万人という盛況を見せました。トヨタのブースで主力の「ハイラックス レボ」(ハイラックスのタイ販売名)とともに注目を集めていたのが、カクカクしたデザインで商用車然とした弟分「ハイラックス チャンプ」です。どんなクルマなのでしょうか。
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トヨタ「IMVプロジェクト」が新時代のピックアップトラックを開発
このクルマ、2023年10月のジャパンモビリティショーに「IMV 0」として展示されていたので見覚えのある方もいるだろう。IMVとは「Innovative International Multi-purpose Vehicle」の略で、新興国マーケットに向けたプラットフォームを用いたトヨタの戦略プロジェクトのこと。その第1弾が2004年にタイで発売された7代目「ハイラックス」(タイ販売名は「ハイラックス ヴィーゴ」)で、「フォーチュナー」、「イノーバ」がそれに続いている。タイではIMVシリーズがこれまで累計270万台以上も販売されてきて、いわば「国民車」のような存在となっている。
トヨタはタイの人々のライフスタイルがこの20年で大きく変化してきたことを踏まえ、「IMVシリーズにおいても、真にお求めやすく、お客様のニーズに寄り添うIMVピックアップトラックをつくるという原点に立ち返り」、現地のエンジニアを中心にユーザーのライフスタイルを徹底的に調査して、IMV 0を開発したという。
そして2023年11月27日、タイで新車種「ハイラックス チャンプ」として発売。サイズはロングホイールベース仕様が全長5300mm×全幅1785mm×全高1735mmで、ホイールベースは日本でも販売中の現行型ハイラックスと同じ3085mm。ショートホイールベース仕様はホイールベース2750mmで全長は4970mmとなる。価格は45万9000バーツ(約193万円)から。現在の円安な為替レートを勘案すれば、きわめてリーズナブルな設定だ。
デッキの大量のボルト穴が物語る圧倒的な拡張性
ハイラックス チャンプの最大の売りは、自由な拡張性にある。フラットなデッキは未装備タイプを選ぶこともできるし、デッキまわりには大量のボルト穴が設けられている。ボルトとナットで車体と架装部分を簡単に締結できるようにとの配慮である。
バンコクモーターショーでは4台のハイラックス チャンプ架装モデルが展示されていたが、中でも最も注目を集めていたのは、標準仕様では14インチの鉄チンホイールなのに対して、20インチのWORKグノーシスCVXホイールをインストールしていたカスタムカーだ。
これはタイのトヨタディーラー大手「TOYOTA SUMMIT」と、バンコクのカスタムショップ「AZC Original」がコラボしたクルマで、足まわりの他、シートはレッドが映えるレカロRCS、リアにはセンター2本出しマフラーが光っている。
が、インパクトの強いフロントマスクは、じつはほとんど純正仕様のままだったりする。近年のトレンドを採り入れてゴツゴツ感とギア感を強調したグリルやバンパーは全モデル共通で、「二」の字型のLEDが未来感をアピールするヘッドライト部分は最上級仕様「アトラクティブ パッケージ」に用意されているもの。下部のリップスポイラーだけが後から追加された要素だ。
日本に導入される可能性は?
タイではピックアップトラックが最も身近なクルマであり、カスタムシーンの主役でもある。もちろんハイラックスも、サーキットでのレースからドレスアップ系、アウトドアなど、多彩なカスタムが行われている。
そんな中で、さらに安価かつカスタムを前提とした弟分のハイラックス チャンプは商用車としてのポテンシャルの高さはもちろんだが、若者にも買いやすく素のデザインもカッコいいときている。今後タイのカスタムシーンで大人気となるだろうことは想像に難くない。
* * *
2024年1月の東京オートサロンでは、ハイラックス チャンプにいち早く着目した群馬トヨタが早速1台を展示していた。並行輸入は現実的に難しいとのことだが、日本市場での要望の声が高まれれば、トヨタ本体が国内発売に踏み切る可能性もゼロではない。三菱がタイ生産の「トライトン」を日本発売し、ピックアップトラックがアクティブな人々に注目されている今、ハイラックス チャンプがトヨタの隠し玉となる、かもしれない。
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